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器には、家族の、料理の、思い出が残る [育児]

2021-12-14T20:57:52.JPG2021-12-14T20:57:52.JPG昨年の夏に引っ越してからずっと気になっていた、実家から持ってきた食器をトランクルームから持って来ました。

両親が亡くなり、三回忌が終わるまではと置いておいた荷物は、賃貸に出すために全て処分しました。

全て処分すると家への想いが少し薄れたような気がしました。実家への想いは家だけではなく、そこにあったものにも染み付いているんだな、家族皆の想いが残っているんだな、そんな気がしたものです。

片付けに通っている中で母がたくさんの器を集めていたことに改めて気付きました。

小皿大皿、小鉢に大鉢、ガラスの器、おせち料理の時にしか使わない器や重箱、オードブルを入れられる大きな容器。

母は家族五人分の料理をそれぞれに分けて配膳していました。大皿に入れて取り皿で、と出すことはせずにそれぞれに、です。今、四人家族で暮らしていてその大変さが分かるようになりました。物が増えると管理が増える。食器が多いと洗うのも片付けるのも手間がかかります。

なんでそんなに面倒なことをしていたのか。

子どもの頃によく聞かされました。

母には妹二人と弟がいます。祖父母は満州で働いており、敗戦と共に引き揚げてきました。敗戦の混乱の中、曾祖父母の家に転がり込み、祖父が何とか仕事を見つけて家を出るまで数年間。昭和15年生まれだった母は敗戦後の混乱の中で過ごしたのです。

食べる物がなく、大皿で出されていた母の家庭では、貴女はお姉ちゃんだから、と量を減らされ、我慢させられていたそうです。大皿だから食べられない、長女は我慢させられる、何度も何度も聞きました。

処分した当時は狭いマンションに住んでいたので持って来れず、トランクルームを借りて保管していたのを遂に持ってきました。


これはおせちの時に使っていた蓋付きの3段の器。ごまめ(関東では田作り?)と黒豆、栗きんとんが入っていました。おせちの中で数少ない子どもが食べられるものが入っていたのでよく覚えています。

愛する妻もこの器は覚えていました。


これもお正月に使っていた器。
いつもなまこの酢の物を入れていました。

なまこの酢の物なんて、子どもは食べません。父しか食べないのですが、何故か父はなまこが大好きで、お正月には母が必ず作っていました。
大人になってお酒を飲めるようになってから私も食べるようになり、コリコリした食感を楽しんでいました。

器には、家族と料理の思い出が残る。
今の暮らしにはこういう器は無いのですが、たくさん持ってきたので、少しでも残せればいいかなと。

引越しの輸送で結構な数割れてしまったのが残念ですが、残っている器は大事に使っていきたいと思っています。

しん

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